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最高裁判所第三小法廷 昭和37年(オ)1003号 判決 1963年11月19日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について。

原判決が確定した事実によると、有限会社旅館寿苑なるものは実在しないものであり、それは、法人が実在しただ単に商号変更登記、代表者選任登記が本件手形振出当時未了であつたにすぎない場合とは事実関係を異にするというのであり、右事実認定は、原判決挙示の証拠ならびに一件記録に徴し首肯できるから、手形法八条の類推適用の結果上告人個人が本件約束手形の振出人としての責任を負うべきものとした原判示判断は正当として是認すべきである。論旨は、前記原審の認定した事実にそわない事実を前提として、原審の裁量に委ねられた事実認定ならびにそれに基づく法律的判断を非難するにすぎず、採用するを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 石坂修一 裁判官 横田正俊)

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